びりけんさんの涙の地域決勝レポート

しかし、こんなに悲しい気分でびりけんさんのレポートを読む日が来てしまうとは、地域決勝が始まる前には想像も出来ませんでした。

長年信州のサッカーを見てきて、これはと思うチームが出てくるたびに全国との力の差を見せつけられ、絶望に陥る経験には慣れているつもりでした。なのに底だと思っていたところからさらに深く蹴り落とされたような気分です。
場所は北九州。北信越と全社の二冠を果たした長野パルセイロの緒戦の相手は全社で大勝したホンダロック。2点を先行しながら追いつかれPK戦で勝利。これが後々響くことに。
続く沖縄かりゆしにも2-0から1点を返されながらなんとか勝利。先制逃げ切りのチームの勝ちパターンを収めながら決して内容はほめられたものではなく、一抹の不安を感じてはいました。
「航空券どうしよう」「有給使い果たしちゃう」という電話の向こうからの弾む声を聞きながらそれを振り払おうとしたのですが…
三日目、横殴りの冷たい雨が降る中のキックオフ。相手は本命視されながら未勝利のバンディオンセ加古川。ただ二敗ともPK負け、かつ上位も星をつぶしあったためまだ一位の可能性が残っていた相手に対し、またも早い時間帯に2点を奪い、楽勝ムードがただよい始めた前半終了間近。雨で足を滑らせた長野DFが加古川の選手にのしかかってPKと警告、抗議して退場。1点差に追いつかれてしまいます。
これで加古川は完全に息を吹き返し、後半に同点、そして逆転。10人の長野にそれをくつがえす力は残っていませんでした。
絵に描いたような自滅。去年事実上の終戦となった信州ダービーとまったく同じ形で。こんなところで悪い病気が出てしまうなんて…
途方に暮れながら乗った新幹線を岡山で降りると、程なくして、やはりずぶぬれになった相方が出てきました。第一声は「サッカー嫌いになりそう」
リーグ戦で死に、全社で死んだ松本山雅。まさかの繰り上げ出場でめぐってきたチャンス。場所は鳥取。グルージャ盛岡は二度のビハインドを跳ね返し、静岡FCはロスタイムに突き放すミラクルぶり。
しかしもう一方のミラクル、レノファ山口。まったくのノーマークながら徹底したサイド攻撃でワンチャンスを活かして先制。松本も追いつく。互いに決め手を欠きPK戦に。そして松本四人目のキックは枠を外れ…こちらはこちらで、一次リーグ最終日に敗退が決まる、去年の二の舞でした。
全社で実力を証明したはずの長野、恐ろしいほどの運を味方につけていた松本。つかみかけていた石垣島のチケットを逃した両チームには何が足りないのか。
たとえばJ空白地だった富山はJFLのYKKと北陸アローズが合併して誕生したカターレ富山が来期のJ入りを確実なものにしました。かたや石川では喧嘩別れしたツエーゲン金沢とフェルボローザ白山がともに不調に終わっています。
手をとりあうのか、それともこのままいくのか。
信州サッカー史に残るであろう屈辱の一日は、来期も一枠を争う両チームにどういう影響を及ぼすのか。そして、あまりに高い全国という壁を越えられる日は来るのか。今は気が遠くなる思いがするばかりです。

・・・今はとにかくお疲れ様でしたとしかかける言葉はありません。
でも、JFLに上がっても落ちてきて来年も地域決勝の決勝トーナメントに上がれなければ結局今と同じになるわけですからね。一つにして最大の処方箋としては、まず準加盟申請に必要な体制を整え、しっかりした支援の元で確実にJFLに上がれる実力を身につける事。GDP比で鳥取県の4倍の規模を持っている長野県が本気を出せば、2つのJFLクラブぐらい養う事は難しくないはずです。どちらか上がったほうがとか、JFLになってからという、まずは自治体の日和見状態からの脱却が望まれるところでしょう。
来年こそ力強い報告をいただける事をお待ちしております。