ACL準決勝第2レグ 浦和-G大阪(1-3)

つくづく、サッカーというスポーツはメンタルと運動量が重要なんだなという事を思い知らされた試合だった。
試合の前半は完全に浦和のもので、最近のリーグ戦の不調は何だったんだというぐらいに全ての選手の出足が鋭く、高い位置からの激しいプレスでガンバのパスワークを寸断して前線に全くボールを送らせず、ボールを奪うと小気味良いリズムで素早くFWまでボールを送り、キレがよみがえった高原とポンテ、エジミウソンの個人技でガンバの守備陣に圧力をかけ続けた。
ガンバも集中力を保って最後までマークを外さずに食らいつき、何度もあったセットプレイのピンチをしのぎ続けていたのだが、とうとう36分にロングボールからのクリアミスを高原に拾われ、鋭く振りぬかれた右足からのシュートがサイドネットに突き刺さり、浦和が待望の先制点をゲットする。
これで勢いに乗るかと思われた浦和だったが、前線の3人の活発さは代わらないものの後ろからの押し上げが徐々に鈍り始め、浦和がペースを握り続けてはいたが先制点までのセカンドボール支配があまり見られなくなってしまう。
そして後半になると、浦和の気持ちが守りに入ったのかスタミナ切れになったのか、それとも両方なのかは分からないが、とたんに浦和の選手の足が止まってしまい、ロニーの代わりに佐々木を入れて中盤を厚くしたガンバがやすやすとボールを支配してしまう。
当然そうなるとガンバにセットプレイのチャンスがやってくるわけで、後半開始6分に遠藤のCKをガンバ山口がドンピシャで合わせて同点に追いつくと、27分にはまたも遠藤のCKからニアに入り込んだ明神がスライディングで触り、このボールがファーサイドのポストに当たってラインぎりぎりで転がったが、これをレッズの山田がクリアしきれずに半分オウンゴールのような形になってガンバが逆転してしまう。
ここから浦和は永井、田中とFWを次々に投入してアウェイゴール差を逆転する2点差をつけるために超攻撃的布陣へと変更するが、後ろにぽっかり空いたスペースを当然のようにガンバに使われ、31分にゴール前でのパスワークから最後はフリーで右サイドに侵入した遠藤がダイレクトで流し込み、これで浦和はジ・エンド。あとは難なくガンバが逃げ切って初の決勝へと駒を進めた。
浦和にはもともとスタミナの問題があったのかもしれないが、それにしてもいきなり後半開始からあそこまで状態が悪化するとは思わなかった。それならば、ペースを完全に握っていた前半のうちに2点目、3点目を取っていればガンバにもあきらめが出たかもしれないのに、1点目で満足してしまったのか、そこから後ろの押し上げが緩くなってしまったのが非常にもったいなかったと言わざるを得ない。
これで浦和はACL、そしてほぼリーグも望みが無くなり、監督交代の声が上がるのも時間の問題だろうが、前半の高いレベルのサッカーを見ても浦和の問題が主にメンタル部分にあるのは明白で、ブッフバルト監督の復帰も噂されているが、どちらにしても選手を統率できるカリスマのある監督で無いと厳しいのかもしれない。
ガンバはまさに快勝だったが、第2レグを0-1でしのいで予想通り決勝進出を決めたアデレードは、浦和よりもさらにパワーと高さ、フィジカルがあり、さらにGKとCBは鉄壁と、浦和相手のように失点してもセットプレイで得点という方法を期待するのは難しく、いかにして相手のペースになっている時間帯に失点しないかという集中力が求められる。
ガンバよりもまだフィジカル志向が強いはずの鹿島があっさりと敗れてしまったように、もともとアデレードのようなパワースタイルは日本の苦手とするチームではあるが、シドニー五輪のアメリカやドイツW杯でのトラウマを一掃してくれるような勝利をガンバには期待したい。