J1第24節 鹿島-川崎(1-1)

J1上位対決3戦目となるこのカードは、まさに上位対決にふさわしい互いの強みが発揮された好ゲームとなった。
鹿島は、いかにもブラジル人監督らしい個人のコンビネーションと戦術眼を活かした、ピッチを幅広く使ってバランスの良いポジショニングで攻めるサッカーで川崎よりもポゼッションで優位に立つものの、川崎はイタリアばりのDFの厳しいマークから中盤がシンプルにつなぎ、最後はアタッカーの能力で鹿島に対抗する。
試合は両チームともにスムーズな中盤のつなぎでボールが激しく動くものの、PA付近ではきっちりと蓋をしてフリーでシュートを打てる場面はほとんど無く、たまのミドルシュートやクロスもピッチの悪さが影響してゴールを脅かすまでには至らない。
しかし後半になって互いの運動量が落ちてくると、ポゼッションで上回る鹿島が小笠原からの展開で高い位置での起点を作れるようになり、とうとう後半22分にマルキーニョスが横への細かいドリブルで川崎DFを翻弄、最後は右45度の位置に抜け出してストライカーらしいゴールを決めて鹿島が先制する。
が、そのわずか5分後にCKから谷口が飛び込んで川崎が同点に。このシーンではゾーン気味に守っていた中田(非旅人)が谷口の動き出しに気付いて追ったが間に合わず、他の選手はマンマークで守っていたのを見ても、ついヨーロッパ時代の癖が出てしまったのかもしれない。
ここからそれまで試合を支配していた鹿島の動きがガタッと落ちてしまい、同点で勢いが出た川崎のペースになるが、ジュニーニョの決定的なシュートは曽ヶ端が腕一本で弾いて得点にならず、試合は痛み分けのドローで終了。
鹿島は本山や野沢を欠きながら、ここまで調子を保っているのはさすがオリヴェイラというところだが、ここからは彼ら本戦力が復活して来ないと、もともと運動量で勝負するタイプのチームではないだけに、ACLとリーグ両方を狙うには厳しいところ。
川崎はピッチの悪さが影響して4バックにした効果はあまり見えなかったが、前線のコンビネーションはかなり熟成が進んでおり、井川もいつの間にか逞しく変身していて、チームの自信と勢いを感じさせる。レナチーニョも楽しみな素材だし、十分優勝を狙えるポテンシャルがあるように思う。