高校選手権雑感

それほど多くの試合を見られたわけじゃないので、あまり大言壮語は出来ないのだが、上位に進出した高校の顔ぶれ以上に、例年とは違った試合が見られた大会だったと言える。
それは、かつての平山や大久保を擁した国見のような、ユースレベルの組織を破壊するような個の力を持ったチームがいない事と、昨年の野洲旋風が巻き起こしたと言われる、ドリブルとパスを織り交ぜてマイボールを大事にするサッカーが広がった事が大きいのだろうが、中田徹氏が書いているとおり、高校レベルでも組織戦術が浸透してきた事が一番に挙げられる特徴ではないだろうか。
特に優勝を逃したとはいえ、作陽と八千代が見せた、ボールの支配率を上げる事で全体のゾーンを押し上げ、それによってプレスの開始位置を上げたり中盤でのセカンドボールを拾ったりする、攻撃と守備がリンクした現代サッカーのトレンドを実現していたチームがあったのには驚かされた。それに比べれば、野洲は昨年の優勝チームでありながら、守備面ではそれほど組織的な形作りがされていらず、やや時代に取り残された古さがあったように思う。
とりあえず、某代表チームのように守備の事なんざ別問題にして、単にパッサーを並べてパスをつなげさえすれば美しくて強いサッカーが出来るとの勘違いが、高校サッカーと言う草の根レベルで下手に浸透していなかった事は安堵の一言である(笑)。
ってか、JFAテクニカルレポートでもそういったチーム作りの基礎の違いから目を背けているようだし、協会のトップ様やマスコミは、いったいいつになったら改心してくれるんだかね(苦笑)。