ドイツW杯準決勝 ポルトガル-フランス(0-1)

どちらも守備力を売りとして勝ち抜いてきたチーム同士の対戦なので、先制点が試合展開に大きな作用を及ぼすと予想されたのだが、それがそのまま結果に現れてしまった試合となった。
ポルトガルは、序盤こそアビダルが上がったスペースを使ってフィーゴやCロナウドがドリブルを仕掛ける場面を作ったものの、すぐにフランスがSBの上がりをセーブしてジダンとアンリ以外の8人によるコンパクトな2ライン守備を固めたために、彼ら両翼からの攻めに対して常に数的有利を作られてしまい、パウレタに高さが無いために前半35分の失点後は、バルテズが弾いたボールに詰めたフィーゴのヘディング以外は、ポルトガルはほとんど決定機を作り出すことが出来なかった。
前の試合からデコやコスティーニャといった中心選手が復帰して、フレッシュな状態で戦えるポルトガルが明らかに有利と思われたのだが、現実は全くの逆で彼らはこの試合では全く目立たず、ヴィエラとマケレレを中心としたフランスの分厚い守りの前に、ひたすら所在なげに中盤をウロウロするだけで、完全に存在感を消されてしまったのも誤算だったはずだ。
とは言え、フランスの戦いはお世辞にも見事だったとは言えず、攻撃に関してはたまにリベリが飛び出す場面があっても、ほとんどはジダンのキープ力とアンリのスピードに頼ったものだけで、それがフランスのようにラインを作ってサンドするのではなく、流動的な中盤がボールホルダーに突っかけていって最後はリカルド・カルバーリョがボールを拾うと言った、ややブラジル的な守り方をするポルトガルの守備に、うまくはまった格好でPKをゲットしただけとも言える内容だった。
この試合での全体的な運動量ではベテランの多いフランスよりも、ポルトガルのほうが勝っていただけに、もしポルトガルに先制点が入っておればポルトガルが楽に勝っていただろう。そういう意味ではまさにポルトガルらしい負け方だったのだが、ストライカー不在の中でのこの結果は良く頑張ったと言える。不運ではあったが、胸を張って母国に帰れるだろう。
これで決勝はイタリアとフランスというカードになった。コンディションや日程面でイタリアが有利なのは確かだろうが、互いに守備に強みを見せる対決なので、これも先制点がどちらに入るかでパワーバランスが一気に傾く試合になるはずだ。フランスはイタリアに比べて攻撃的な手駒が少ないだけに、より先制点を与えない注意深さが求められるだろう。