欧州CL決勝 リバプール-ACミラン(3-3PK3-2)

トルコ・イスタンブールで行われた決勝戦、リバプールはバロシュの1トップの下にキューウェルを置いた4-4-1-1という布陣で臨み、ミランはシェフチェンコとクレスポの2トップの下にカカーが入ったベストメンバーの4-3-1-2。
試合は開始わずか50秒で動く。カカーが右サイドで倒されたFKをピルロがDFラインの前に蹴り、そこに入ってきたマルディーニがボレーで叩きつけてミランが見事にサインプレイをものにして先制する。いつものように守りから入るはずだったリバプールはこれでゲームプランを狂わされ、人数をかけて攻め立てようとするのだがミランも人数をかけて落ち着いて守り、リバプールはアバウトなアーリークロスやセットプレイでしか中にボールを運ぶ事が出来ない。
ミランは中盤がぽっかり空いたリバプールの陣形をうまく利用して、SBのマルディーニやカフーが上がって試合を支配する。が、23分に怪我のキューウェルがスミチェルに代わったあたりからDFラインが非常に高くなり、中盤の密度を増やして何とか盛り返すものの、スタムとネスタががっちりと守るミランの守備を崩す事が出来ない。
30分を過ぎるとリバプールのDFラインの裏をシェフチェンコやクレスポが狙い始め、ミランが徐々に惜しい場面を作り始める。対するリバプールもようやくサイドを使った展開パスから中に人が飛び込む攻撃が機能し始め、ルイス・ガルシアあたりがシュートチャンスを作れるようになって、試合から得点の匂いがし始める。そして39分、ミランゴール前でフリーになったルイス・ガルシアが切り返した隙にネスタがボールを弾き、そこからのカウンターをカカー、シェフチェンコとつないで折り返しをクレスポが決めてミランが抜け目無く2点目を決め、その直後にもカウンターから一発のパスで抜け出したクレスポが落ち着いて決めて3点目。ここで前半は終了する。
3点目直後のがっくりするリバプールサポーターの画をを見ながら、これでミランが9割9分ビッグイヤーを手にしたと思ったのだが・・・
後半からはリバプールはハマンを入れて3バックに変更する。これでリバプールの守備に少し混乱があり、ミランは相手のミスなどでチャンスを作るのだがシェフチェンコのFKがリバプールGKデュデクのナイスセーブに阻まれるなどで得点にならない。これはまだまだミランに点が入るなと思った9分、左のリーセからの何でも無いクロスが、これまた普通にフリーでいたジェラードの頭に合ってリバプールが唐突に1点を返す。
これでリバプールサポーターは一気に盛り上がり、逆にミランの守備は足が止まってリバプールが次々にボールを回す。そして2分後にはスローインからPA外でパスをつないで最後はスミチェルがミドルシュート、これがヂダの手に当たってミランゴールに入ってしまう。さらに15分には中盤でボールを奪ったリバプールが右に展開してバロシュがポスト、そこに猛然と走りこんできたジェラードをガットゥーゾが手で押してしまいPK。チャビ・アロンソのキックは一度はヂダに弾かれるものの、自分でゴールに蹴り込んでとうとうリバプールが同点に追いついてしまう。
ここからミランもさすがに攻めに出始め、ミランはパスを回してサイドから、リバプールは縦に早いパスから速攻と両チームの攻撃の持ち味を出した展開になる。30分を過ぎると互いに運動量が落ち始め、攻めの精度が落ちると同時に守備のマークミスも増えて決定的チャンスが生まれるのだが得点までには至らない。42分には3人目のシセを投入したリバプールに対してミランはようやくトマソンとセルジーニョを入れる。が、試合の趨勢は変わる事無く試合は延長戦に。
延長は互いに運動量が落ちるとやはり技術の差が出るらしく、試合はミランが支配する。が、リバプールもPK戦を狙い始めたのかしっかりとセルジーニョのサイドを封じて守りの体勢に。それでも、裏にいたトマソンがシュートミスしたとは言えトラオレがクロスにかぶったり、ファーからシェフチェンコに合わされたりとリバプールにとって間一髪の場面が続く。そして最大のチャンスは延長後半12分、セルジーニョからのクロスをシェフチェンコがヘッド、これをデュデクが弾いたところをまた押し込もうとしたがこれも止められて無得点。そしてとうとうPK戦に突入。
そしてPKだが、インベーダーゲーム(古い)を思わせるデュデクの不思議な踊りの前にセルジーニョとピルロ、そしてシェフチェンコが失敗してしまい、リバプールはリーセが外した以外は成功させ、リバプールが下馬評を覆し続けてビッグイヤーをゲットした。
ミランは5月に入ってから公式戦で1勝も出来なかった通り、守りに入ろうとしても中盤のチェック能力が落ちて結局失点を許してしまう悪癖がこの試合でも出てしまった。そこが、イタリアよりも鋭い攻めの形を持つプレミアのリバプールには幸いしたのかもしれない。また、終始攻めの采配をしたベニテスに対し、ひたすら受けに回った交代策しか出せなかったアンチェロッティの采配も議論されてしかるべき点だったように思う。だが、それらを抜きにしてもサポーターと一体となったリバプールの戦いは見事であり、まさにチームとサポーターの力で手に入れたビッグイヤーだったと言える。リバプールとサポーターに心からおめでとうと言いたい。