欧州CL準決勝第2レグ リバプール-チェルシー(1-0)

第1レグをスコアレスドローで終えたイングランド勢同士の試合。リバプールのホーム、アンフィールドはリバプールサポーターでぎっしり埋まり、チェルシーファンもいる事はいるのだがリバプール側の大声援の前に声すら確認できない状態。リバプールはバロシュの下にリーセ、ジェラード、ルイス・ガルシアが並ぶ形の4-5-1で、チェルシーはドログバの下にグジョンセンとコール、チアゴが流動的に攻守にからも形での4-5-1という布陣。
試合はイングランド同士、しかも守備の規律が浸透している両チームの試合とあって、ワンタッチ・ツータッチで非常に素早くボールが回るのだが選手がなかなかフリーでボールを持てる状態ににならないために、ボールカットからの攻守の切り替えが延々と続くめまぐるしい展開で始まる。
そんな中で、何となくアンフィールドの大声援に押されてかチェルシーのDFが少し慌てているなと感じた3分、左サイドのリーセからのパスを中にいたジェラードがワンタッチで裏に送り、そこに飛び出したバロシュがGKと交錯したこぼれ球をルイス・ガルシアが押し込み、ギャラスが何とかクリアするのだがギリギリでゴールに入ったと判定され、あっけなくリバプールが先制してしまう。
その後はチェルシーが反撃かと思いきや、2点目を取られたくないせいかいつも通りのドログバに長いボールを当ててセカンドボールを拾う形に終始、対するリバプールも裏のスペースを注意深くケアしながら高い位置でボールを奪ってからのサイドチェンジという慎重な攻めで相手の隙をうかがう。
しかし20分を過ぎるとボールはリバプール陣内に偏り始め、30分を過ぎるとリバプールはバロシュを残してほとんどが自陣に引きこもる形となり、チェルシーもサイドを使って何とかゴールをこじ開けようとするのだが、PA内を6、7人でぎっちりと固めるリバプールディフェンスの前にことごとく跳ね返されてしまう。そしてそのまま前半は目立った動きが無いままに終了。
後半は最初こそリバプールがサイドからの攻めを見せるものの、チェルシーがリバプールの前へのボールをカットしまくり、試合はすぐにチェルシーのペースへと変わる。ここでベニテス監督はバロシュに代えてシセを投入、何とか前線で起点を作って試合を落ち着かせたいという思惑を見せる。しかしそれでもあまり効果は上がらず、リバプールも徐々に守備の対応が遅れはじめてチェルシーにセットプレイのチャンスが増えてくる。そしてチェルシーは20分にチアゴ、コールを下げてケジュマンとロッペンを入れて畳み掛ける姿勢に。
さらにチェルシーはフートが前線に入ってギャラスが上がりっぱなしの2バック状態で徹底してロッペンとのコンビで攻め立てる。が、かえって前線が渋滞してリバプールのカウンターを浴びてしまう。そしてリバプールは最後まで守備の集中力を切らさず、6分と言う長いロスタイムの最後にグジョンセンのシュートも枠を外れるなど運も味方し、イスタンブールでの決勝への切符を手にした。
チェルシーはホームで0-0、そしてアウェイで早々に失点と言うようにゲームプランがことごとく裏目に出てしまったのが痛かった。堅い守りを崩せるロッペンという切り札も故障明けとあってキレを欠き、今年何度も見たランパートの神がかりも準決勝では生まれてくれなかった。リバプールはチームの質と言う面では明らかにチェルシーに比べて劣ってはいたものの、最初の得点と守備の集中力を生んだと言っていい、アンフィールドのサポーターの力でチェルシーをわずかに上回った。相手は本命ミランだが、イスタンブールでも彼らの力が発揮されればビッグイヤーも夢では無いはずだ。