イタリア セリエA第12節 レッジーナ-ローマ(1-0)

両チーム共に下位低迷、しかも前節は敗戦と調子が今ひとつ出ないもの同士の対戦。レッジーナはボナッツォーリの1トップの下に中村が入り、あとはDFにカンナルサが入った以外はいつも通りの3-5-1-1で、ローマはカッサーノが復帰してモンテッラとコンビを組み、トップ下にトッティが入った4-3-1-2の布陣。
試合は予想に反して、レッジーナが高い位置からプレスをかけてローマのパスを寸断してペースを握る。レッジーナは今まではボナッツォーリが孤立気味だったが、ラインが高くなって中村の高さにコルッチが上がってくる事が多くなり、その分中村がサイドに流れてうまく起点を作る事でポゼッションを維持している。
逆に、ローマは縦に早くボールを入れようとするのだが、キエーボのようにサイドが上がってこないのでFWだけが走る事になり、結果的にトッティの頭上をボールが飛び交うだけになってしまって全くボールを自分達のものにする事が出来ない。守備でもレッジーナ選手に対する寄せとマークが甘く、かつて対戦相手を窒息させた強烈なプレスの面影も無い。
そして15分に、サイドにいた中村がつないだボールを受けたコルッチがワンツーで抜け出し、逆サイドに流れたクロスボールを拾ったメスとが再びクロス、これをボナッツォーリがヘッドでローマゴールに押し込み、レッジーナはサッカーの勢いの差からすると正当な得点をゲットする。
ローマはようやく30分過ぎからデルネーリ戦術を無視した(?)本来のローマらしい、早く正確なパス回しが機能し始めてレッジーナゴールに迫るのだが、レッジーナの守備陣の出足が良くて体を張ったカバーでローマの決定機を潰しつづける。そして互いにチャンスをいくつか作るも得点できずに前半は終了する。
後半も試合の調子は変わらず、ローマはトッティが中盤に下がって何とかチームを立て直しているような状態でシュートチャンスまでなかなか持ち込めず、レッジーナも中村のペースが落ちて倒されてボールを失う場面が多くなって一進一退のままで試合は進む。
25分ごろからはさすがにレッジーナの運動量も落ち、待ってる守備の形が多くなってローマがボールをキープする形になる。そしてここで中村はお役御免。しかしレッジーナは守備の集中力も高くてどこぞのJチームのような棒立ちの場面は決して作らず、さらにはカウンターをお返しする意欲も衰えていない。そしてローマは数少ないシュートもGKソビエーロに阻まれ、最後にはテデスコが退場する場面もあったのだが、5分のロスタイムも得点につなげられずに試合は終了。
レッジーナの見事な闘志とペースをつかんだ時に得点できた理想的な展開があったとは言え、あまりにもローマの出来がひどすぎた試合だった。特に、前半途中でチームに組織的な動きが全く無くなり、それをデルネーリが声を荒げるわけでもなく傍観しているあたりは、完全に監督と選手の意識に乖離が存在してしまっている証拠だと言えよう。果たして、監督を交代しないで状態を上げていくことが可能なのかどうか・・・
今日の中村は不得意な荒れたピッチの中でも、何とか自分がやれる範囲のプレイを確実にこなしていた印象。レッジーナの組織が機能して高い位置からのプレスが決まるようになって、コルッチが前線のフォローに入れるようになった事も負担の軽減になってくれたように思う。中村が下がって組み立てに入ることでチームのリズムも出てきた感もある。ただ、その分トップ下修行としては甘いものになってしまったのは贅沢な悩みか。