欧州CLグループC ユベントス-バイエルン・ミュンヘン(1-0)

互いにCLの超常連でありながら、不思議な事にこれが初対戦の試合。ユーベのホーム、デッレ・アルピは空席が目立つやや寂しい状況。ユーベは、UEFA公式ではイブラヒモビッチとデルピエロの2トップにトップ下がネドベドの4-3-1-2だが、カモラネージが高い位置に出た4-4-2とも言える布陣。バイエルンはマカーイの1トップの後ろにゼ・ロベルトとバラックとシュヴァインスタイガーが控える4-2-3-1。
試合は両チームともに静かな立ち上がり。とは言え、互いに高い位置にDFラインを引いた中での凄まじいプレス合戦が続き、どの選手もボールを2秒と持てないような状況が続く。当然お互いのFWも厳しくマークされるためにシュートチャンスがほとんど作れない。その中でも、ユーベはバイエルンのDFの裏へ、バイエルンはユーベのサイドへとボールを運ぼうとする狙いが見える。
30分ぐらいまでは、シュートをいくつか放っているユーベのペースと言えなくも無かったのだが、そこからはバイエルンの非常に高い位置からのプレスにユーベはボールをつなげなくなり、ロングボールを放り込んで後ろが押し上げる戦い方に変更する。しかし、その分ユーベ陣内にスペースが発生する事になり、バイエルンは激しいプレスから奪ったボールをゼ・ロベルトらのキープ力を生かして細かくつないでゴールに迫る。
それでもバイエルンは、テュラムとカンナバーロ、ブッフォンがそびえるユーベの守備を崩す事が出来ず、両チーム無得点のままで前半は終了する。
後半に入っても前半終わりごろの試合のペースは変わらず、相変わらずユーベがボールを放り込んではバイエルンがカウンターを仕掛ける展開。こういう試合にはほとんど役立たずのデルピエロが15分にサライェタに交代する。そこからはサライェタがサイドに流れてボールをキープする働きもあって、試合は再び膠着する。
それが唐突に破れたのは30分。テュラムの単純なロングフィードをクフォーに競り勝ったイブラヒモビッチが頭で中に落とし、飛び込んで来た「いつもの」ネドベドがワントラップからシュート、これがカーンの左を破ってユーベがワンチャンスで先制する。
そこからはさすがにバイエルンが攻勢に出て、セットプレイやクロスからゴールを狙うのだが運も無くて得点できず、ユーベもカウンターのチャンスは作るがバイエルンのうまい守り方に阻まれ、1-0のまま試合終了。ユーベがホームで手堅く勝ち点3をゲットした。
90分間決して相手をフリーにしない高い位置からの激しいプレス、ボールを奪ってからの流れるようなパス回しと、バイエルンはユーベよりもはるかに高いチーム完成度を見せていたのだが、ユーベの現実的な試合運びとネドベドの決定力がそれを覆した試合だったと言える。
特に、バイエルンはユーベに点を取られてからも、ひたすらボールをつないでサイド攻撃を仕掛けたところを見ても、ドイツというよりもまるでスペインのチームのようであり、前線の迫力やこの日消えがちだったバラックの使い方を含めて、いかに結果と理想の折り合いをつけて行けるのかが問われそうである。