J1第1ステージ第14節 鹿島-磐田(1-0)

素晴らしいスタートダッシュを見せて首位を快走しながらも最近は息切れ状態になって横浜に迫られている磐田と、怪我人が途切れずどうにも調子が上がらない鹿島という、伝統の一戦にしては物足らない状況となった試合。磐田は西の代わりに川口を入れてグラウと前田の2トップで臨み、鹿島は名良橋の代わりに内田が入り、平瀬と野沢の2トップに復帰した本山と小笠原が2列目に入る布陣。
試合はいつものごとく、磐田が中盤を中心としたパス回しでポゼッションを握り、鹿島は引き気味でカウンターを狙うという展開で始まるが、暑さのせいかチーム状態のせいか、両チーム共に攻守の出足やプレイの精度が鈍く、状況こそ一進一退だが決定的なシーンがほとんど無い。磐田は2トップの動き出しが無くて縦にパスが入らず、中盤のフォローも鈍くてボールを支配できず、鹿島はサイドでつないで攻めるものの、FWの存在が希薄でクロスを上げても得点の匂いがしない。
30分を過ぎると早くも中盤が間延びし始めて互いにゴール前の場面が増え、40分過ぎには先に動きが落ちた磐田を鹿島が押し込むが、この日キレを見せていた本山のシュートが惜しくも枠を外れるなど運も無く前半が終了する。
後半になるとペースは鹿島に。どうにも中盤の運動量が上がらない磐田のポッカリ空いたバイタルエリアに本山や小笠原がどんどん侵入し、そこから外へ中へと磐田を攻め立てる。FWの存在が完全に消えてしまった磐田は業を煮やして23分に中山を投入するも、対抗して続けざまに深井と青木を投入した鹿島のペースは変わらない。
しかし、成岡を入れて福西をFWに上げた30分からようやく磐田が反撃、早めのパスで前線に起点を作ってはセカンドボールを拾い、あわやのビッグチャンスを作るもゴール前を固めた鹿島の必死のクリアで無得点は続き、スコアレスドローの雰囲気が濃厚になって来る。
ところがロスタイム、とうとう鹿島の左CKが真ん中を飛び込んできた岩政にぴったり合い、劇的かつ岩政には嬉しいプロ初得点となる先制ゴールを決め、すぐに試合は終了。磐田は鹿島の意地の前に優勝を狙う上で厳しい敗戦を喫してしまった。
この試合の磐田は自慢の中盤のダイナミズムがほとんど感じられず、明らかにチームのコンディションが落ちているように見受けられた。ベテランが多いだけに仕方ない面はあるが、それを補うはずのメンタル面でいつまでも中山の助けを借りないといけないようでは、今後のレベルの維持は厳しくなるかもしれない。
鹿島は本山が復帰して中盤の攻め手が増えてきたのはいい材料だが、相変わらずFWが頼りにならず、守備の押し上げが遅いために中盤の攻撃力を生かせていない印象。ポストだけなら得意な鈴木が復帰濃厚だけに、前線で溜めを作った形の押し上げから連続攻撃をするサッカーをセカンドステージで見せて欲しい。