EURO2004 グループB イングランド-スイス(3-0)

前節でフランスを相手にリードしておきながら、わずか2分間で逆転負けと言う屈辱を喫した背水のイングランドは、GKジェームズ、DFコール、ソル・キャンベル、テリー、ギャリー・ネヴィル、MFスコールズ、ジェラード、ランパート、ベッカム様、FWがオーウェンとルーニーの2トップ。対するスイスはシャプイサ、ハカン・ヤキンの2枚看板を前線に配した4-3-1-2という布陣。
試合は、まずスイスが高い位置からプレスをかけてイングランドを押し込む展開。イングランドは相変わらず相手がボールを持つとすぐ引いてしまい、攻撃に移ろうとしてもスイスのプレスに引っかかり、セカンドボールを拾われては逆襲されてしまう情けない状況。当然、スイスはセットプレイのチャンスが増え、ヤキンの精度の高いキックから何度か惜しいチャンスを作る。
20分を過ぎるとようやくイングランドもパスが回せるようになり、ランパートを中心とした大きな展開でペースをつかみはじめる。そして23分、カウンターから持ち込んだジェラードからベッカム様にボールが渡り、PA内ファーの位置にフリーでいたオーウェンにピンポイントのクロスが渡り、オーウェンの浮き球のクロスに反応したルーニーがヘディングで合わせてワンチャンスでイングランドが先制する。
スイスはこの得点で気落ちしたのか、ここからガタッとペースが落ちてしまい、自陣でのミスパスを連発したりベッカムを完全にフリーにしたりと明らかに集中力が切れた内容を見せてしまう。35分ごろからはスイスもようやく持ち直すが、単発のミドルシュートばかりで暑さを計算してペースを落としたイングランドはスイスの攻撃を余裕で受け流すのみ。
後半になると、スイスは精彩を欠いていたシャプイサに代えてガイガックスを投入して攻めに出る。だが、相変わらずイングランドの守備は堅く、ハカン・ヤキン得意のスルーパスもイングランドのマークに封じられたまま。そして15分にはハースが2枚目のイエローで退場して早くも白旗状態。
あとはイングランドが流しながらもカウンターからルーニー、そしてサイドに振り回してからのジェラードの得点でスイスを一蹴した。
スイスは序盤に押しながらも一瞬のマークミスで失点、その後は一気にチームタスクを崩壊させてしまうなど、予選をトップ通過したとはとうてい思えない、ナイーブとしか言いようの無い試合をやってしまった。数字上はまだグループリーグ通過の可能性はあるものの、よほどの奇跡が無い限りは厳しいだろう。
イングランドは一見非常に守備的で面白みはかけらも無いものの、ジェラードやランパートの正確なサイドチェンジで押し上げる時間を作り、最後はベッカムにボールをあずけて何とかするといった夏場向けの合理的なサッカーのイメージを全員が共有しており、オーウェンが不調なのは気がかりではあるが、先に失点しなければそう簡単には負けないだけの形を作り上げていると言える。クロアチアを破って決勝トーナメントに進む事が出来れば、案外面白い存在になるかもしれない。