親善試合 日本-マリ(1-1)

アテネ五輪アフリカ代表のマリを迎えたこの試合。日本はトルコ選抜戦と大きくメンバーを変えてGK黒河、DF北本、那須、茂庭、MF根本、阿部、鈴木、駒野、トップ下が山瀬、2トップが坂田と高松という3-5-2。対するマリは4-4-2という布陣。
試合は開始から日本が激しくプレッシャーをかけて高い位置でボールを奪い、素早くサイドへ展開して主導権を握る。しかしマリは日本のクロスに対してもDFの驚異的なジャンプ力でクロスをことごとく跳ね返してしまう。
10分を過ぎると日本もプレスのスピードが落ち、マリの個人技を警戒してか待つディフェンスが多くなって、足元でつながれてラインが下がってしまうようになる。マリは組織的な守備は無いものの、4バックのラインが異常に高くて日本は前線が糞詰まりになり、またマリの2トップの一角がボランチの位置にもプレッシャーをかけるために、一発のパスを裏に出すしか攻め手が無くなってしまう。
たまにサイドのスペースにFWが流れてキープしても、ラインが低くて押し上げが足りないために二次攻撃につなげられない。そうして糞詰まりからミスでカウンターを食らうというどうにも冴えない展開のままに前半は終了。
後半になると日本は那須と茂庭、根本、山瀬を下げて、森崎、今野、大久保、菊地を投入して阿部をリベロに下げる。そこからの日本はハーフタイムの修正が効いたのか、FWの連携でボールを受ける動きが出てきたり、また中盤へのマリのプレッシャーも緩くなってボランチや左サイドからの展開が可能になって再び日本がペースを握る。
しかし15分過ぎからは再び日本はマリのペースに飲み込まれ、14分に疲れた高松に代えて前田を投入するも攻撃は余計に沈滞してしまう。案の定、20分にはCKに黒河が不用意に飛び出してかぶってしまい、ファーにいたアブドゥにヘッドで叩き込まれてしまう。
日本はここで鈴木に代えて松井を投入、今野の1ボランチと言う布陣に。ここから日本の攻撃が活性化し始め、30分には今野のパスから松井が一瞬の溜めを作って相手の股間を抜くスルーパス。これに反応した大久保が豪快にサイドネットに同点ゴールを叩き込む。
そこからは勢いづいた日本がマリゴールを脅かすものの、マリの反応の速さと身体能力に阻まれ、突き放せないままに試合終了。
マリはラインが高いだけで組織が無く、攻撃も足元パスとドリブルだけの個人技頼りで、トルコ選抜に比べてはるかに怖さの無いチームだったにもかからわず、特に前半の日本はマリを恐れて腰が引けた戦いになってしまい、相手に落ち着く時間を与えてしまった事が悔やまれる。この辺が石橋を叩きすぎる山本采配の煮え切らないところであり、テスト的な意味合いが強い試合だったとは言え、勝ち点3を重ねる事が必要な予選リーグでの戦いに向けて不安を残す内容だったと言える。
これでOAを加えた18人に向けての選考試合が終了したわけだが、今日の試合の選手の働きを見ても、まず当確と言えるのはDFが徳永、那須、茂庭、闘莉王、右サイドが駒野、石川、ボランチが阿部、今野、鈴木、左サイドが森崎、FWが大久保、平山、田中、松井といったところだろう。もう既にこれで14人なのでGKのサブに1人が必要と考えれば、残りのサブメンバーはOAが何人入るかにかかって来たと言える。特に層が厚い前線の坂田や前田は、レギュラークラスに怪我人が出ない限り厳しそうだ。さて、本番のメンバーはどうなるのかに注目である。

●採点


  • 黒河 5.5 失点につながったかぶりは言い訳の仕様が無い。ここはOAが必要。

  • 茂庭 6 いつも通りの茂庭であった。

  • 那須 5.5 消極的なラインコントロールはいただけない。センターとしてはつらいか。

  • 北本 5.5 マークに付けば強いが、フィード力や連携という点では不利か。

  • 根本 5 序盤こそ攻撃にからんだものの、その後は存在が消える。相当厳しい。

  • 阿部 5.5 今日はパスの配球役にはなれなかった。積極的なラインコントロールで少し名誉挽回。

  • 鈴木 6 いつもの粘る守備といつもの致命的なパスミス。スタメンは左サイドの人選次第か。

  • 駒野 6.5 活発な動きと正確なクロスで前半の日本を引っ張った。徳永をうっちゃったか。

  • 山瀬 5.5 守備に積極的なのは良いが、相変わらず攻撃陣とは噛み合わず。厳しい。

  • 高松 6 頑張りすぎてシュートを決められないのは、いつかの城を思い出させる。

  • 坂田 5.5 豊富な運動量で前回よりは良くなったが、結果が出せないと厳しいか。

  • 菊地 6 まずまず破綻なく働いた。OAを使わなければ選ばれるかも。

  • 森崎 6 阿部が小野で無いのがはっきりした以上、やはり左サイドでの組み立て役として必要。

  • 今野 6 今日はマークミスがあったが、まあ日本の大黒柱だろう。あとは展開力があれば・・・

  • 大久保 6.5 結果を出してるだけに選考は間違い無い。あとは田中や松井とのスタメン争いだろう。

  • 松井 6.5 今日も攻撃のアクセントとして活躍。膠着状態の打開役として途中出場がベストか。

  • 前田 5 攻撃では消えたまま、守備でも緩慢な動きで山瀬に劣るようでは・・・