J2第40節 新潟-甲府(2-0)

広島と川崎が両方とも引き分けに終わっているだけに新潟としては絶対に勝ちたい試合。しかし相手は難敵甲府。ここを乗り切れるかどうかで今後が大きく変わってくるところ。
新潟、甲府ともに試合開始から高いラインを保ち、新潟は甲府DFラインの裏を狙った長いボールからの展開、甲府はサイドチェンジや連動したスペースメイクの動きを生かした非常に組織的なサッカーで互いにカウンター気味のチャンスを作りあう展開。しかし、甲府が小倉の自由なポジショニングからの的確なミドルパスで気持ちよくパスが回るのに対し、新潟はサイドが高い位置に走りこみながらそこまで展開するスピードが遅く、サイドを固めて前線も守備に走り回る甲府の守りを崩せない。
これは広島・川崎パターンに陥るかなと思った前半30分、宮沢の右サイドからの長いFKにうまくDFの前に飛び込んだ上野が頭で合わせて新潟が貴重な先制点。そこからは現金なもので新潟は急にサイドチェンジなどの展開パスを生かした攻撃をし始め、カウンターから何度かチャンスを作るがFW陣がシュートを決めきれない。40分ごろからはハーフタイムを意識したのか、新潟のDFの集中力が落ちてボールウォッチャーになってしまって甲府の猛攻を浴びるが何とか無失点のままハーフタイム。
後半開始からはやや新潟ペース。しかし甲府も自分達のコンパクトで組織的なサッカーを崩す気配は全く無く、逆に60分過ぎには新潟の中盤の運動量が落ちてゴール前に人数が固まってしまい、長身選手を入れてロングボールで攻め込む甲府に立て続けに決定的なチャンスを作られてしまう。しかし相手のシュートがラッキーにも2度ともうまくヒットせず、新潟はなんとか命拾いをする。
そして31分、カウンターの場面から右に走りこんだ栗原にサイドチェンジのボールが渡り、サイドからの切り返しから左足のクロス、これが中央にいたマルクスの頭にドンピシャで合って新潟は試合を決める2点目をゲット。あとは攻める甲府とカウンターの新潟という展開となって、チャンスを互いに作りあうもそのまま試合終了。
甲府はおそらくJ2で最も良いサッカーをしていると断言できるぐらい、小倉の質の高いプレイを生かした組織サッカーが出来上がっている。前線で小倉をサポートする藤田や水越、アライールといった選手もJ2の水準以上であり、4位という順位も全く納得できる。あとは決定力が付けば来期の昇格も夢では無いだろう。
新潟は広島や川崎と同様決して良いサッカーをしていたわけじゃなかったが、とにかくセットプレイで先制点を取れたことが大きかった。ここぞというところで相手のシュートも決まらず運も味方に付けられたと言える。これで3位に勝ち点4差、しかも広島と川崎は最終節に直接対決を残していると、非常に有利な立場に立ったのは間違いない。まだ好調福岡との対戦が残っているが、残りの試合で取りこぼしさえしなければかなり高い確率で昇格しそうだ。