マスコミは誰も触れないレッジーナの戦術変化

生では見れなかったレッジーナ-アタランタの試合をビデオで見る。中村は不思議と良かった。やっとダッシュのスキルを覚えたようで、喜ばしい限り。ただ、まだ総MP数が少ないようで、回数が限られているようではある。ここは我慢して経験値を貯めるしかないだろう。
1トップのディミケーレを軸に、サイドがどんどん上がり、中村はスペースを見つけて自由にポジションを取ってマークされにくくするタイプの4-5-1。これってどこかで見たことがあるなと思ったら、奇しくも中田のいたペルージャと全く同じではないか。ただ、割と中央でバンと張っていて、カウンターのボールを全て仕切っていた中田に比べ、中村はスペースを勝手に見つけて自由にポジションを取っているところがやや違うところか。やはりパスセンスのみ突出したプレイヤーを使おうとすると、周りが前方のスペースに向けて飛び出しやすく、瞬間的にパスコースが生まれやすいこういう形にどうしてもなってしまうのだろう。
ただ、この戦術だとサイドの運動量とフォローが命なので、コンパクトさが失われると、ちょうどSBの前のスペースががら空きになって、そこにどんどん相手に侵入されて、とたんに機能しなくなる。実際、一昨日の試合でも前後半も終盤になるとラインがズルズル下がってピンチを量産してしまっていた。中田のパルマでは、中田自身によって守備の穴を補強することが可能だが、基本的にフラフラしている中村がいる場合は、よほど中村を中心として全員が連動しない限り、うまくはいかない。
そういう意味で、まだ実績を十分に挙げているとは言えない中村を、ここまで中心としたシステムを組むことを思い切ったデカーニオは凄いとしか言いようが無い。それはもちろん良い意味も悪い意味もあるのだが、幸いなことに、アタランタ戦の終盤の得点が欲しい場面で、4-4-2で中村をボランチに下げてミドルパス役にしているところなんかを見ると、やはり選手の特性の生かし方を良く分かっている監督なのは間違いない。基本的にポジションを守らなければならず守備力も要求される、4-2-2-2の左サイドで使おうとしているどこぞの代表監督よりは、ちゃんと中村を見ていると言えそうではある。もっとも「黄金の中盤」の場合は、約束事など無いのでムダか。
もちろん、いくら中村を生かす戦術だとしても、1トップ下である限りマークは覚悟しないといけないし、ヘディングは空振りしたが(笑)ゴール前に詰めるという動きをしていかなければならないわけだが、まずチーム内での使われ方という点で、非常に良い方向に行っているのではないだろうか。